代表インタビュー

「ねこたまご」共同代表の二人(佐藤・後藤)に「保護猫活動に対する想い」についてインタビューをしました。

ねこたまごを設営する前の経緯を教えてください。
後藤(以後:後):最初に佐藤から動物管理センターで乳飲み子を里親につなげたいという話を、聞いたんです。それは、6年前でしたかね。
そもそも、代表2人の出会いのきっかけは何だったのでしょうか。
後)出会いは、近所に住んでいて、子供が同い年だったんですよ。
佐藤(以後:佐):そうそう。上の子が同級生で、よく、道ですれ違うことから話しかけて、仲良くなって・・・簡単にいうとママ友ですよね。仲良くなって、ランチを一緒にしたりとか。
では、その話の中に猫好きとかそういう共通点があったんでしょうか。
佐)うーん。最初は、猫が好きだからという共通点でつながったわけではないです。
私が猫を飼っていただけで。
ペットショップでそのときは飼ったんです。それで、育て方とかあれこれインターネットでみていたら、保護猫活動ということをしり、世の中にこういうことがあるんだと知りました。
人間でたとえると「世の中に不幸な身寄りの子もいるんだろうな・・・」とかあっても、行動に移せない・・・何をすべきかわからないなどありますよね。
何か救いたい、そういう気持ちから保護猫団体に初めて寄付をしました。
そこから私の保護猫活動は始まったんですけど、当時、札幌の「シニア多頭飼い崩壊」というニュースを見てから、「地元を助けたい。地元の猫を救いたい」という気持ちにシフトしました。

その後、札幌の保健所にいって状況をみて理解するということをしていました。
ペットセラピストなどの勉強をし、夫の理解を得てやっとケアすることができるようになったんです。
こういうことを、その当時に後藤にも話していて。
後)そう。そのとき「私にも、何かできるかな」っていいましたね。
それで私たちが保護猫活動を始めたんですよね。
じゃあ、「ねこたまご」として活動しようとした理由はなんだったのでしょうか。
後)二人で活動するなかで、主婦のお友達であったりそのさきのつながりだったりで、とにかく「助けたい」という友人が増えていったんですよね。
具体的には、保護した猫の預かりボランティアをかってでてくれるひとですとか。
そういう仲間というか、支えてくれる方が増えてきたんです。
口コミというか、活動に賛同してくださったんですね。
佐)そうですね。ただこの活動は地道だとわかっていたので、私は最初からBlogで広めようと当時、毎日更新していました。
対外的な発信ができるのは当時、Blogしかないと思っていました。
ホームページは作るのが大変ですが、Blogって、文字と画像どっちも簡単に乗せられたのでよかったですよね。わたしには。
そもそも「ねこたまご」という名前の由来は?
後)札幌市で乳飲み子活動しているのは、当時私たち以外にいなかったんです。
それもあるし、「乳飲み子を育たせる」=「大事に卵から育たせる」というようなイメージですかね。
では、個人活動からNPO法人にするきっかけとは。
後)それまでは、個人的な費用でやってきてました。
個人活動で、年間100頭保健所から救っていたので、やはり、経費がとても個人では賄えない・・・
佐)そうそう、法人化すると決めたタイミングが、二人の子供が中学校入学の時期で、やっぱり学費もあるし、今後保護猫活動への資金負担が重荷になっていたんです。
後)もともと二人の気持ちの一致があってぶれなかったのは「個人活動なら、資金は募らない」だったんです。
個人で頑張っていた時も、物資支援をいただけたりはしたのですが、それはありがたくいただきました。
ただ、資金をやりくりするという困難にぶち当たりました。
佐)これ以上は縮小するか・・・もしくは法人化して拡大するか・・・
そういう直面で二人で決めたのが、2014年4月、拡大という道でした。
お二方がそれぞれ担当している業務は何でしょうか。
後)ねこたまご+cafeの運営、会計、譲渡、譲渡面談、飼育相談などを担当しています。
佐)保健所から猫を救うレスキューです。そして、そこをつなげる預かりボランティアさんのサポートですね。

では、なぜ「ねこたまご+Café」を創ったんでしょうか
後)Caféができる前は、札幌の麻生でマンションかりてシェルターを作っていたんです。
当時は常時スタッフを駐在していたわけではないので、里親希望をいただいた時は、その方と日程調整をおこない、個別連絡して、お見合い場所として使っていましたね。
ただ、そのやりかたに限界があって
「いつでもすきなときに、みにきてもらいたい」
と思っていたので。
譲渡につなげるためにも、来られる人が限られる時間の中で、里親希望の猫と対面ができてればとおもいました。そして、Caféが「ねこたまご」の活動をしってもらえる場所になるとおもいました。
どっしりと拠点をかまえることで、ボランティア団体となれることも重要だったんです。
佐)アンテナですよね。Caféがあることは。私にとっては悲願でした。
譲渡できる場所。その拠点があれば、ボランティアもきやすい。
そして、われわれの顔もみられるというか・・・
ボランティアの顔ですよね。
来てくださる里親募集の方々も「ここだったらいいかな♪」というような、マッチングできる場所です。
そして、ねこは、預かりボランティアさんのそばにいれば安心なんです。
ただ、団体として猫の頭数が増えてきて、病気などの一時的なホームステイ場所がなかったので、今はそれができるから安心ですよね。
ねこたまご+Caféは「店舗型里親募集、オープン施設」ですね。
失敗や辛いことはありましたか
佐)失敗はいつもです・・・
私はサロン経営をしているんですけど、ボランティアに関しては「無理しないでやる」と決めていたんですが、結局むりしちゃいましたね(苦笑)
法人化したことでも新しい問題が起きますし、自分のいたらなさをいつも感じています。
私が、ボランティアさんに100%フォローができれば、もっと円滑にいくと思うことがあります。
あと、一番悲しいのは、私も預かりボランティアをしているんですが、預かった子が亡くなった時は、何度味わってもだめですね・・・つらいです。
自分の心も整理つかないまま、ボランティアを進めなければならないこともあり、きついなと思うこともあります。
ただ、私が始めたことなので、折り合いをつけています。
後)うーん。私は・・・失敗はやまもりですよね。
佐)わかる!
後)失敗は日々あるんですけど・・・
やっぱり、今新しい事業(Café)が始まったので、やることが多岐に増えているんです。
正直、追いついていけてない仕事が多いですね。
開業から半年経過して、いろんな課題もみえてきました。
運営人とも話し合いながら、「どうやったらもう少しここの運営がうまくいく」とかということを考えています。
Cafeもうまくできれば、助けられる猫もふえるから・・・
佐)後藤は働きものなんです。後藤は。Caféのきりもりは初めてだし、会計もしているし猫の通院や薬の投与も担当なので。あと、対外的な営業活動への対応もしてますね。
後)こまかい作業が一気にできなくてたいへん(汗)
大変なお二人の、「やりがい」は何ですか
佐)私たちがボランティアを始めたときは、1500匹、約8割は乳飲み子を、即日のうちに保健所で処分されていました。それが、年々減ってきました。
3年前にボランティア登録制度ができて、今まで救えなかった命が500匹になり、100匹になり1匹になりと。
年々実績が目に見えている。そこが本当に活動にやりがいを感じますよね。
もっとたくさんの方に、ボランティア登録制度を知っていただきたいです。
わたしも力をかしたいというような、猫を救いたい。
うーん、やりがいはそこに尽きると思います。
後)私も、同意見です。
あとは、Caféと運営している視点でいわせていただくと、ケアする子は100%健常な猫でありません。
障害もある子がたくさんいて、そういう猫たちを個性としてご理解いただき、里親様に救われていくことがあって・・・
Caféだからこそ、ふれあいができて、その子の個性を理解してくれる里親様とのつながりが感じられるのが、とっても嬉しいです。
そして、里親様が決まると私たちはもちろん、Cafeスタッフ(ボランティア)の笑顔が見られて本当にうれしいです。
あと、Cafeに飼育相談にくる方もいっぱいいらっしゃるので、お答えすることで後日「おかげで気持ちが楽になりました」などのメールなどお気持ちも聞けることがあります。
こういう繋がりがうれしいですね。
ではお二人は今後「ねこたまご」をどのようにしていきたいですか
佐)これ以上規模を大きく・・・などの観点はありません。
今の規模で・・・安定した稼働に乗りたいという気持ちですね。
後)はい。活動の安定はとっても大事ですね。
世の中の保護猫数を減らさなければいけない。
そのために、私たちは活動し、その活動を安定させたいです。
やはり、現状は保護猫の数を受け入れるボランティア数が足りないです。
そして、乳飲み子ボランティアはとにかくたくさんいればいるほどどうれしいし、子猫になってからのボランティアさんもありがたいです。
今より、保健所へ入る保護猫数も減るし、今は管理センターで亡くなる命が1頭でもなくなるように・・・
佐)猫の受け皿がないと、何もできないんですよ。
Café以外でも、24時間みていただける預かりボランティアさんの数も安定させて、いろいろなフォローアップができるように整備を整えていきたいです。
今までの悲願だったCAFÉスタッフ、通いボランティア、預かりボランティアの方々と連携をとって、みんなで辛いことも喜びも、わかちあいたいですね。
今私がしているのは、預かりボランティアの定期交流会です。
3か月に1度話し合いの場を設けて、私と預かりボランティアさんの接点・猫をどういうふうに育てているかの共有場所を設けるようにしています。
人間の子供の子育てと一緒です。みんな孤独にならなくて、交流会の後は私も力をもらえるんです。
後)私の今後の目標なんですが、以前からの目標ですが私たちは管理センターからの保護が中心です。
なので、管理センターへ猫が預かられれば、私たちが動く・・・
管理センターの猫が減らない限りはずっといたちごっこですよね。
そういうことから、間違った飼育方法をしている方々には、適正な飼育方法を教えていきたいと思います。
今後、管理センターへの猫が激減したとするならば、私たちは必要なくなります。
私たちの保護活動がなくなるような、世の中になりますようにと・・・
いつも願っていて、いつも二人で言っていますね。
管理センターだけで、すべて完結するようなうな世界に。
まずはそこにむけて、適正飼育(正しい動物の飼い方の考え)に力をいれたいです。
つなげるために、今後もイベントで活動をして我々の活動を広めていきたいです。
佐)アンテナになることで、ねこたまごを知る人が、知人友人家族に繋げられることができますよね。
適正飼育が常識になれば、今後私たちの活動がなくなる日もくるわけです。
あとは、障害をもっている猫の支援もしていきたいと思っています。
医療ケアなどをしていきたいですね。
あと、猫の殺処分はなくても、収容センター内で年間200匹くらい亡くなっているんです。
殺処分0必達がもちろん大事ですが、譲渡をもっと開けた努力をしていきたいですね。
管理センターも努力していただき、我々も努力をずっと続けます。

いつか「ねこたまご」の活動自体が、札幌から必要なくなる日を望むお二人。
あらためて、動物を飼う人間の責任を考えさせられる時間でした。